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イノベーション
平成20年度の科学技術白書では、イノベーションの文字が乱舞しています。私が受験する技術士の試験(応用理学部門)にも大きく関わるトピックでもあるので、なぜ今イノベーションなのか、それには何が必要なのか考えてみました。
○イノベーション創出の必要性と課題点
平成20年度科学技術白書では、イノベーションの創出が重要視されている。わが国は高度経済成長時代より、原料を輸入し、それを加工して付加価値を与えた製品として輸出するという加工貿易により地位を築いてきた。これには勤勉な国民性による労働力もさることながら、強い科学技術力の裏打ちが必要であった。
しかるに現在、日本の科学技術力に揺らぎが生じ始めている。その最たる原因は技術力の海外流出であると思われる。海外流出には様々な形態が見られるが、ここでは技術の「モジュール化」による技術そのものの流出と、技術力の基盤を支える人材の流出について取り上げる。
(1)技術そのものの流出
昨今の風潮として、製品の生産においては、個々のパーツは汎用品を使用するというモジュール化の傾向がある。代表例はパソコンの生産過程が挙げられる。モジュール化はコストを安価に抑えられる他、不測の事態で原料の供給が止まるといったリスクも軽減できる。その一方で、誰でも原料を入手できるため、一定のノウハウを習得すると、誰でもが製品を生産できてしまうというコモディティ化の問題をはらんでいる。
(2)人材の流出
プロ野球界などスポーツ選手に限らず、科学技術の分野においても、優秀な人材の海外流出は見られる。その原因は定かではないが、プロ野球選手の例から類推すれば、収入など待遇面の不満が一つにはあるだろう。また国内研究機関では、事務手続や会議など雑事が多すぎる点への不満もしばしば耳にする。
これらの技術力の海外流出に歯止めをかけることができれば、国内の科学技術力は一応の向上を見ることが可能と思われる。しかし一方で、日本は先進国としてODAや京都メカニズムのCDMなど、常に技術力を海外に移転し続けなければならないという責務も負っている。この相反する矛盾を一掃したいという気持ちを「イノベーション」の一言で代用しているのではないだろうか。
確かに技術革新を起こし続けることで、新たな科学技術を創出し続けることができれば、永久に技術移転は可能である。しかし、その無限ループの息切れが昨今の停滞状況として表出しているのではないかと考える。
まず国内研究機関を魅力あるものにし、技術者・人材の海外流出を止める。そして豊富になった人材によりコモディティ化しにくい技術を充実させ、国内の科学技術力を確たるものとする。その上で高いポテンシャルを持った科学技術の移転を行う。
といった緩急をつけ、順序だてた対策を採らない限り息切れは止まらないものと思われる。
カテゴリー:科学技術全般
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